将棋界は夏になると竜王戦の挑戦者決定三番勝負が始まり、秋からはいよいよ七番勝負が始まるといったところです。
この竜王戦は、賞金額や対局料のかなりの部分が公開されており、将棋のタイトル戦の中では最も高額な棋戦として知られています。
当然のことながらプロ棋士も気合が入ります。
はたしてその賞金や対局料はどこのスポンサーから出ていて、金額はいくらなのでしょうか?
今回は、竜王戦の賞金と対局料はどこから出ているのか、スポンサーと金額などをまとめていきたいと思います。
竜王戦の賞金と対局料
竜王戦は将棋界の最高棋戦にして最高賞金額の棋戦です。
そのシステムは独特で、勝ち進めばだれにでも竜王になるチャンスがあるという夢のある棋戦となっており、よく考えられたシステムになっています。
これが”竜王ドリーム”ともいわれる由縁にもなっています。
名人戦はA級の10人の棋士にしか挑戦権のチャンスがありませんから、ある意味対照的なシステムともいえます。
名人戦が長期間に渡って強さを維持しなければならない棋戦であるのに対して、竜王戦はその年に最も強い棋士を決める棋戦という見方もできるでしょう。
歴史と伝統の名人戦、実力の竜王戦ともいえます。
この竜王戦ですが、賞金と対局料は違うので分けて考えなければいけません。
それぞれ個別に見ていきましょう。
竜王戦の賞金額
まず賞金額です。
これは対局料とは別に勝ったり負けたりして決まるものです。
その優勝金額は、2019年でなんと4,320万円、準優勝でも1,620万円の賞金額です。
2020年には優勝賞金は4,400万円に増額されています。
8大タイトル戦の中には優勝賞金が数百万円という棋戦もありますからその約10倍ともなり、桁違いとなっています。
また1組から6組までのランキング戦でもそれぞれ優勝と準優勝の賞金が出ます。
優勝と準優勝の賞金額は、それぞれ
1組:優勝470万円・準優勝116万円
2組:優勝366万円・準優勝94万円
3組:優勝261万円・準優勝63万円
4組:優勝209万円・準優勝53万円
5組:優勝157万円・準優勝42万円
6組:優勝94万円・準優勝21万円
となっています。(第33期2020年)
竜王戦の対局料
対局料は勝ち負けにかかわらず最初から決まっています。
対局によって支給されるもので、当然のことながら勝ち進めば勝ち進むほど高くなっていきます。
下に今期の本線トーナメント表がありますが、数字が対局料になります。
ご覧の通り、かなり高額な対局料です。
(第33期2020年の対局料です)
また、ランキング戦の対局料は具体的な金額については非公開となっていますが、基本的に1組を基準として組が下がるごとに対局料は1つ上の組の75%となります。
さらに昇級者決定戦の対局料はランキング戦の80%、残留決定戦は30%で、他に女流棋士、奨励会三段、アマチュア棋士などは減額となっています。
※日本将棋連盟から引用しました。
竜王戦の賞金と対局料はどこから出ている?スポンサーは?
では続いて、この高額な賞金と対局料はいったいどこから出ているのでしょうか?
竜王戦に限ったことではないのですが、将棋や囲碁は新聞社がスポンサーになっていることが非常に多いです。
よく新聞に将棋や囲碁の棋譜が掲載されているのをご覧になることがあると思いますが、新聞社は日本将棋連盟と棋戦の契約を交わすことによってその棋戦の棋譜を新聞に掲載するというシステムになっています。
竜王戦も同様で、前身の十段戦の時代から読売新聞社がスポンサーになっています。
つまり、竜王戦の賞金と対局料はすべて読売新聞社から出ているのです。
竜王戦とは?
竜王戦は、十段戦を前身とする将棋八大タイトル戦のひとつで、最高賞金額の棋戦です。
そのため、将棋界では最高棋戦とされ、竜王位は序列最高位となります。
歴史も古く、前身の十段戦・九段戦を合わせると名人戦に次ぐ歴史を誇ります。
1組から6組までのランキング戦を勝ち抜いた棋士で挑戦者を決める本戦トーナメントを争い、挑戦者を決めるという独特のシステムになっています。
アマチュアや女流棋士棋士も参加するいわばオープン競技で、毎年10月から七番勝負が始まります。
永世称号である永世竜王は、竜王位を連続5期、または通算7期獲得で権利が得られ、現在のところ羽生善治竜王と渡辺明棋王の2人のみとなっています。
ちなみに2008年の第21期竜王戦は、渡辺明竜王(当時)と羽生善治名人(当時)の対戦となり、どちらが勝っても永世竜王の資格を得るという7番勝負となりました。
結果は渡辺明竜王が3連敗後4連勝で防衛を決め、初代永世竜王となりました。
両者3勝3敗で迎えた第7局は、「100年に一度の大勝負」といわれ、大きな話題となりました。
第31期竜王戦七番勝負の記事は、こちらからどうぞ!

竜王戦の優勝賞金と対局料~藤井聡太の場合
では、第31期(2018年)の藤井聡太七段(当時)を例にどれだけの賞金・対局料が支給されたのかを見ていきましょう。
残念ながら藤井聡太七段は本線トーナメントの2回戦で敗れ、羽生竜王との七番勝負は実現しませんでした。
しかし、5組で優勝しており優勝賞金155万円を獲得しています。
これに対局料を加算すると、
155万円(5組優勝賞金)+46万円(本線トーナメント1回戦対局料)+52万円(本線トーナメント2回戦対局料)+40万円(5組の当時六段の対局料)×5局 = 453万円
となります。
まだ5組という下から2番目のクラスではあるにもかかわらず、ひとつの棋戦でこれだけ稼げるというのは将棋界では凄いことだと思います。
453万円という賞金・対局料が高いか安いかはそれぞれの判断になるかと思いますが、高校生のお小遣いとしては破格であるのは間違いないでしょう。
※情報は2018年のものです。
竜王戦の賞金はどこから出ている?~まとめ
今回は、竜王戦の賞金と対局料はどこから出ているのか、スポンサーと金額などをまとめてきました。
まとめると竜王戦の賞金や対局料は読売新聞社から出ていますが、最高棋戦にふさわしく大変高額なもので、それと同時にすべての参加者に竜王になるチャンスが与えられた夢のある棋戦といえます。
勝ち進めば勝ち進むほど賞金や対局料も上がりますが、下のクラスからでものし上がれるシステムは参加者に大いにやる気を与えます。
毎年、挑戦者決定三番勝負が始まり、七番勝負まで白熱の勝負が繰り広げられることになります。
羽生竜王のタイトル獲得通算100期の記録も実現するかどうか、楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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