最近、線状降水帯という気象用語をよく耳にするようになりました。
以前は聞くことがなかったように思いますが、甚大な豪雨災害ではかなりの確率で関わっているようです。
線状降水帯の定義とはどんなもので、いつから言われ始めたのでしょうか?
今回は、線状降水帯の定義とはどんなものでいつから言われ始めたのか、気象庁でも予測できないのか、などについて見ていきます。
線状降水帯とは?
線状降水帯とは、雨を降らせる積乱雲が短時間に次々に発生し、組織化した積乱雲群が長時間に渡ってほぼ同じ地域を通過、または停滞することによって大雨が降る地域をいいます。
次々に発生する積乱雲が線状(帯状)に見えることから線状降水帯と呼ばれます。
発生メカニズムは、簡単に説明すると気温が上昇し多くの水蒸気を含んだ空気が同じ方向の風の流れに乗って、上空に冷たい空気がある同じ地域に運ばれることによって起こります。
このように線状降水帯は局地的な集中豪雨の原因になり、大きな被害をもたらす可能性があります。
線状降水帯とは?~気象庁の定義
参考に線状降水帯の気象庁の定義も紹介したいと思います。
気象庁では線状降水帯の大きさを数値化していますが、定義によるとひとつの町をすっぽりと飲み込むには十分過ぎる大きさです。
これが長時間居座るわけですから、被害が大きくなるのも当然のことといえます。
気象庁の線状降水帯の定義は、以下のようになっています。
次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。
国土交通省・気象庁公式サイトより引用
参考:降水「雨に関する用語」(国土交通省・気象庁公式サイト)
⇒ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html
線状降水帯とはいつから言われ始めた?
線状降水帯が広く知られるようになったのは、平成26年8月に発生した広島の土砂災害と平成27年9月の関東・東北豪雨あたりからです。
そして、その後も平成29年7月の九州北部豪雨、平成30年7月の西日本豪雨、令和2年7月の豪雨と、毎年のように線状降水帯がもたらした集中豪雨によって甚大な被害が発生しています。
線状降水帯という気象用語自体は以前からあり現象としても1990年代から指摘されていましたが、近年の気象衛星やレーダーなどの技術の発達によって線状降水帯が”見える化”したこと、メディアでも広く取り上げられるようになったことなどが一般認知につながったと見られています。
線状降水帯は気象庁でも予測できない?
この線状降水帯ですが、その特性上、予測することができない非常に難しい厄介なものとなっています。
その理由は、数百kmにも及ぶ大きな規模の台風などと違って線状降水帯は数十kmと規模が小さく局所的であるためです。
線状降水帯は発生してから初めてその存在を把握できるものなので、今の気象庁の技術をもってしても事前に予測することができない難しいものなのです。
また、その地域の地形や風向きなどによって急に発生することが多いのも理由のひとつで、このため対策も遅れやすく被害も大きくなりやすいといえます。
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線状降水帯とはいつから?~まとめ
今回は、線状降水帯の定義とはどんなものでいつから言われ始めたのか、気象庁でも予測できないのか、などについて見てきました。
線状降水帯とは、雨を降らせる積乱雲が短時間に次々に発生し、組織化した積乱雲群が長時間に渡ってほぼ同じ地域を通過、または停滞することによって大雨が降る地域で、一般的に知られるようになったのは平成26年8月の広島の土砂災害と平成27年9月の関東・東北豪雨あたりからです。
線状降水帯は規模が小さく発生して初めて把握できるもので、さらに急に発生することも多いので、今の気象庁の技術でも事前に予測できない難しいものとなっています。
予測の難しさが対策の遅れを招きやすいので、温暖化に伴う非常に厄介な自然現象といえます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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